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Wat's your name?

【傷だらけの腕のなかで】

 傷の手当てをしながら、思いきって訊ねる。

「お客さま、なぜあのようなむちゃを?」
「…ゆるせないんです。あの男は、ポケモンを道具としてしか見てなかった。バトルに負けたのはおまえのせいだ、おまえが弱いから悪いんだと…」
「…ふむ。弱いのは自分の力量不足。ポケモンのせいではありませんね」
「はい。だから、ゆるせなかったんです」
「ですが、このようなおけがをなさってまで、なぜあのマメパトをたすけたいと…?」

 しばらく考えてから、言った。

「わからないです。ただ、たすけたかった。それだけです。むしろ、理由なんてないんだと思います」
「…ですが、もう少しご自分もいたわっていただけませんと」
「私はどうなってもいいんです。だけど、ああいうポケモンを、増やしたくないんですよ」
「マメパトの手当て、終わりましたよ。すっかり元気に…あっ」

 自分で飛んできたのか、マメパトは勝手に少女の肩に乗る。

「なーに、あなた…ボールに戻りたくないの?」
「くっ!」
「いいよ。じゃあ、一緒に行こう。…あ、あとジョーイさん、あずけていたピカチュウを…」
「はい」

 ジョーイが連れてきたピカチュウはボールが嫌いなのか、少女の足元にすりよった。

「ごめんね、ピカチュウ。それと、マメパト。今日から仲間だから、仲良くしてね?」
「ぴかー」

 ノボリにしてはめずらしく、ただただおどろく。マメパトのこともそうだが……このピカチュウ、ずいぶんとかんろくがあるところを見ると、かなりの修羅場をくぐってきたのではなかろうか。

「マメパトには、これをおぼえてもらわないとね」

 と秘伝マシンをとりだすと、空を飛ぶをおぼえさせた。

「ちょうど飛行タイプがいなくてこまってたんだ」

 だが、おかしくはないか。本来なら、"空を飛ぶ"はフキヨセのジムリーダー、フウロに勝たなければ使えないはず。

「お客さまはいったい、なにものなのですか…?」
「…それじゃあノボリさん、いろいろとありがとうございました。ギアステーションのみなさんにも、おさわがせしてすみませんでしたと、おつたえください」

 言うが早いか、少女はポケモンセンターから走りさると、マメパトに乗って飛びさった。

「…嵐のようなかたにございますね」
「リーグチャンピオンですから、いろいろ事情があるのではないかと」
「…え?」
「あ、いけない!」

 ジョーイはあわてて口をつぐむと、仕事にもどる。

(リーグ、というと、やはりポケモンリーグでしょうか…?)

 しかし、イッシュリーグのチャンピオンはトウコという少女だ。以前バトルサブウェイにも挑戦しにきたが、まったくの別人である。
 ギアステーションにもどり、ことづてだけをのこすと、ノボリは自分たちの待機室の黒いノートパソコンを広げた。ちなみに、クダリのパソコンは白だ。

「ノボリ、ここ、しわよってる」

 なにごとかと心配してついてきたらしい弟が、兄のみけんをさす。





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