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Wat's your name?

【2つの手】

 ノボリに扉をふさがれ、少女は行き場を失う。

「なんで逃げるの? ぼくら、ちょっと話がしたいだけ。なにもしないよ?」
「クダリの笑顔が、こわいのですよ」
「…ぶー。そんなの、ぼくのせいじゃない!」
「ごめいわくでしたら、どうぞ…」

 と、ノボリは扉のまえをどいた。

「…お話って、なんでしょうか?」
「うん。ねえ、そのまえにきみの名前教えて!」
「…いやです」
「えー、じゃあテキトーにつけちゃうよ? ぼくネーミングセンスめちゃくちゃ悪いよ? いいの?」
「クダリのネーミングセンスといえば、あなたたしか、昔シママにデンチュラとつけようとしましたね」

 つぎの瞬間、少女がふきだす。

「シママにデンチュラって、ひどい…」
「むう、だってぼく、デンチュラ好きなんだもん。ノボリだって、ダルマッカにマッカってつけてたデショ!」
「…ノボリさんもネーミングセンス悪い…」
「悪いよね! むしろぼくよりひどい」
「失礼な!」

 少女はまだ笑っている。だがなぜかその笑顔は、ノボリの胸にあたたかい感情を呼びさました。

「…もしかして、もうご存知なんじゃないですか、私のこと」
「…はい。失礼ながら、勝手に調べさせていただきました。すみません…」
「でも本当にきみがそうなのか、ぼくたち、はかりかねてる。だから、名前訊いた」
「もし好奇心なら…」
「好奇心…もありますが、なにより、わたくしたちがあなたさまという女性に興味がある…と申したほうが、正しいかもしれません」

 ポケモンに対するおおきな愛情と、そのくせバトルはめっぽう強い。

「ノボリ、それだとぼくらが彼女を好きになったって言ってるみたい」
「え!? いえ、あの…そういうわけでは…」
「…ふふっ、もう、お2人とも漫才みたいな会話しますね…。…名前、です。一応、セキエイとホウエンのリーグチャンピオン…なんて肩書きを持ってます」

 やはりそうだった。安堵感というかなんというか、複雑な表情をするサブウェイマスター2人に。

「チャンピオンなんて言っても、サブウェイマスターとたいして変わりませんよ。マスコミに追いかけられたり、狂信的なファンに追いかけられるだけで」
「…なるほど」
「…うわあ、思いあたるとこが多すぎてつらい」

 ノボリもクダリも、サブウェイマスターだというだけで、いや顔がいいからよけいなのかもしれないが……よくファンやマスコミに追いかけられる。

「そういうのが嫌で、同じような立場の人がどうしているのか、見てみたくなったんです」

 バトルフロンティアのブレーンだのは、うまいことやっているらしく、あまり苦労はしていない様子だったのだ。

「でも、いざライモンにきてみたら、やっぱりバトルしてみたくなってしまって…」
「それで、わたくしのシングルトレインへ?」
「はい。ダブルトレインは…まだあまりダブルバトルになれていなかったので、野生ポケモンで修行してから、と」

 なれていないというわりには、よい勝負だったが。





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