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Wat's your name?

【甘くほろ苦い思い出】

「それで? 実際にぼくらと会ってみて、なにか収穫はあった?」
「…わからないです。ただ、バトルはたのしかったです」
「うん! ぼくらもきみとのバトル、すごくたのしかった!」
「また、バトルしてくださいまし」
「…はい」

 ごそごそと、クダリがスラックスのポケットからなにかをとりだした。

「はい、これ。こっちがぼく、これがノボリのね」
「…あの、これは…?」
「ライブキャスターの番号だよ!」
「え、あの、私ポケギアしか持ってないです」
「ダイジョーブ! ポケギアとも通話はできる!」

 いまいち納得がいかない様子で、名前は自分のポケギアの番号をメモしてわたす。

「これで、ぼくたち友達だね!」
「…サブウェイマスターと友達だなんて聞いたら、女友達がさぞうらやましがるんではないかと」
「自慢しちゃえば?」
「…クダリさん…」



 あれからすぐライブキャスターを買ったという名前に、クダリはひんぱんに連絡をとっているらしく。
 そういえば、昔もこんなことがあったなあなどと遠い記憶を想いおこしつつ、ノボリはボーッとしていた。

「…ん…ボリさん、ノボリさん!」

 はっとして声のしたほうを見ると、名前がいる。

「どうしたんですか? 最近元気がないって、クダリさん、すごく心配してましたよ…?」
「いえ、なにも…」
「でもぼくじゃ力になれないから、私にきてほしいってクダリさんが」
「ああ、そうでしたか…」

 別に自分が心配できてくれたわけではないのか。そう思ったら、なんだか胸がしめつけられた。

「それから、これ。お口に合うかわからないですけど、ノボリさんに」
「…え?」
「元気がないときは、おいしいもの食べたらいいかなーって思って。あ、でも味は保障しませんけど」

 許可をえて包みを開けると、手作りのお弁当で。

「これも、クダリが言っていたのですか…?」
「いえ。これは私が勝手にしたことです。…まずかったら、捨ててください」
「とんでもない! せっかく作っていただいたのですから!」

 苦笑いを返す名前に、そっと箸をつける。

「…ちゃんとおダシがきいていますね」
「はい。ノボリさんは薄味が好きだって、クダリさんから聞きました。なので、味つけにはちょっとこだわったんです」
「とてもおいしいです」
「よかった…」

 やっと笑顔になってくれた名前に、ノボリも少しだけ笑う。

(わ、ノボリさん笑った!)
「? どうかなさいましたか?」
「あ、いえ!」
(わー、あんな顔見ちゃったら、もっといろんな表情見てみたくなっちゃうなー。…って、私ってばなに考えてるんだろ…)

 頭のなかのよけいな思考を追いだすと、本当においしそうに食べてくれるノボリに、作ってよかったなーなどと思う。

「ごちそうさまでした」
「お粗末さまです」
「よろしければ、今度はわたくしの手料理を食べにきていただけませんか? 今日のお礼に…。もちろん、ごめいわくでなければ…ですが…」
「え、あの…めいわく、じゃないです」
「では、ぜひいらしてくださいまし」

 微笑をむけられ、詳細は後日ライブキャスターで連絡する……とだけ約束を交わし、ライモンシティをあとにした──。





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