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Wat's your name?

【濡れた指先】

─インゴ Side Last─

名前サマ? どうなさいました?」
「インゴさん…」

 今にも泣きだしそうな名前に、インゴは、思わず抱きしめる。

「なにがあったかはききません。ですが、泣きたいときは、きちんと泣いてくださいまし。…ワタクシは、ここにおります」
「…ふっ…あ…」

 せきをきったように、だが声をだすまいと泣きじゃくる名前に、インゴは自分の気持ちを再確認していた。

「ワタクシは、できることなら…このままあなたサマをわが国へ連れ帰りたい」
「…え?」
「初めは正直、ノボリへの見せしめだった。ですが、いつのまにかワタクシは、本気であなたサマを愛してしまいました」
「見せ、しめ…?」
「…はい。ノボリは、あなたサマが好きにございます。…ワタクシにこんなことを言う資格がないなどと、よく理解している。ですが、ワタクシもあなたサマが好きです」

 名前はもう、なにがなんだかわからなかった。つまりノボリは名前が好きで、インゴはそれをじゃましたかっただけなのだろうか。

「インゴさんは、私が好きじゃなくて…」
「それはちがいます! たしかに最初はただの興味でしたが、今は本気であなたサマを好いております」

 真剣な瞳で見つめてくるインゴに、目をそらせない。

「あんなことをして、嫌われてもしかたない。だが、ワタクシの気持ちだけは、信じてくださいまし」
「…インゴさん…」

 やさしくしてくれたのも、こまかなことまで気にしてくれていたのも。すべては好きだから、なのだろう。

「…信じます」
「…え?」
「インゴさん、自分にふりになるのに、きちんと本当のことを話してくれた。だから、やっぱりインゴさんは悪い人じゃないです」
「…ありがとう、名前。…もう少しだけ、抱きしめていてもいいですか?」
「…はい…」



「インゴさん、エメットさん!」
「…名前サマ?」

 空港のロビーで呼びとめられた2人は、ほぼ同時にふり返った。

「私も、お2人の母国に連れて行ってください!」
「…え?」
「ボクはかまわないけど、名前のママとか、心配しない?」
「はい! きちんと言ってきました! もちろん、許可もとりました!」
「ですが…」

 付きあっているわけでもないのに、名前を連れて帰るわけにもいかないだろう。

「私、あれからいろいろ考えてみたんです。だけど結局、なにも応えなんてでなかった。だから、少し故郷を離れてみようと思って」
「それって…ボクらただ利用されてる系?」
「えっ、あ…えーと…」
「ボクはいいけど。…インゴは? 自分の好きな子を連れされるんなら、本望だろうけど?」
「…ノボリとは、きちんと話したのですか?」

 苦笑いを返す。

「話してません。…今は、話したくないんです。少し時間をおきたいので…」

 名前の瞳には、いつぞやとおなじ、強い光が宿っている。

「…ここで追い返しても、どうせついてくるのでしょう? よろしい。行きましょう」
「…はい!」

 名前はインゴとエメットとともに、飛行機へと歩を進めた──。

ENDE 111004



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