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Wat's your name?

【恋に落ちた瞬間】

「はー、しんど…」

 ライモンシティのバトルサブウェイ乗降場。私はそこで、受けつけ業務をしている。サブウェイが到着するか発車しないかぎり、私に仕事はない。バトルサブウェイは、挑戦者がいなければ動かないからだ。
 さっきシングルトレインが入ってきたばかりだし、おそらく、まだしばらくは私に仕事はまわってこないだろう。

「ふあ…」

 あくびをかみ殺しながら、休憩室に向かう。そのとちゅう、退屈だったからねぼけていたのか……階段で足を踏み外す。

「いったー…」

 足首をひねったみたいで、痛みがはしる。

「どうなさいました?」
「え…? あ…」

 この路線に勤める人なら、知らなければおかしい、サブウェイマスターのノボリさんだ。

「あの、えっと…ちょっとどじってしまって…」

 むりして立とうとするけど、やっぱり足が痛い。

「…っ!」
「少々失礼いたします」

 と、ノボリさんはいきなり私の足元にひざまずいて、足にふれた。

「いっ…!」
「くじいたのですね? …医務室にお運びします」

 いきなり横抱きにされて、抱えあげるノボリさんに、恥ずかしくなって……。

「だっ、だいじょうぶです! 自分で歩けますから、おろしてください…!」
「…歩けないから、困っていたのでしょう? …少しのあいだ、おとなしくしていてくださいまし」

 はっ、はずかしい……! すれ違う職員や乗客が、みんな見てる……。

「あっ、あの、ほんとに…」
「医務室までのしんぼうにございますよ」

 ……だめだ、とても聞いてくれるような雰囲気じゃない……。よく見るとノボリさんってイケメンってやつだし、あんまりこういうことされると、あとがこわいんだけどなあ……。

(まあ、でも…)

 ちょっとしたラッキーと思って、いいのかもしれない。

「…ありが、とう…ございます…」
「…いいえ、サブウェイマスターとして、部下をきづかうのは当たり前でございます」

 ただの上司と部下でも、ここまで気にかけてくれたら……うれしくもなる。

「でもきっと、それが自然にできるのは…ノボリさんのいいところだと思います…」
「…そうなのですか?」

 ノボリさん、いい人だなー……なんて考えながら、医務室へと運ばれた──。





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