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Wat's your name?

【欲するがままに】

「あの、なにかご用でしたか?」
『だからー、おはなししよーよー』

 ……かんべんして。寝たい。……なんて、上司である彼に、言えるはずもなく。

「はあ…?」
『まず、きみの好きな食べ物は?』

 たあいのない話につきあわされ、気づいたら、朝になっていた。

「ん…? はっ!? 寝ちゃってた…」

 いつのまにか切れていたライブキャスターを、かばんに戻す。

「…着替えなきゃ…」

 どんなにつかれていても、仕事はしなくちゃいけない。
 すばやく着替えをすませると、職場へとむかった……。



「…なに、これ」

 ロッカーに入っていた、ちいさな包み。中身はお弁当だった。誰かが間違って入れたのかな? と思い、ロッカーを使っている仲間に訊いたけれど、誰も知らないという。

「気味が悪いな…」

 かといって捨ててしまうのももったいないから、いつも社食の私は、ありがたくいただくことにした。……おいしい。

「あれ? ねえ名前さん、それ、ボスのと同じお弁当よね?」
「…はい?」
「さっきボスが食べてたの、それとそっくり同じおかずだったわよ」

 ……どういうことだ。とりあえず、本人たちに訊いてみるしかない。

「あの、ボス!」
「はい」
「あー、名前ちゃんだー! どしたのー?」
「これは、どちらのしわ…お気遣いですか!?」

 と、お弁当を見せる。

「これ、ノボリが作ったんだよ!」
「クダリ! よけいなことは言わなくてよろしい!」

 ……つまり、これはノボリさんのしわざなのか。

「お気持ちはうれしいですが、いきなりロッカーに入れないでください。びっくりしました…」
「…すみません…」

 しょんぼりしてしまったノボリさんに、あわててつけくわえる。

「あ、でも、これはありがたくいただきますね!」
「ねえねえ、ロッカーに入れるのはダメでも、ちょくせつわたすのはいい?」
「…え? でも、おいそがしいでしょう?」
「ううん、だいじょーぶ! だから、いい?」
「え、ええ…。せっかく作ってくださったものを、むげにするつもりはないですが…」

 瞬間、ノボリさんが微笑を浮かべた。昨日のこわい笑顔じゃない、本当にうれしそうな顔だ。

(わ、ノボリさんでもこんな風に笑うんだ…)

 いつもは無表情だから、てっきり笑わないのかと……。

「じゃあ、これからは毎日ノボリのお弁当、食べてあげて!」
「あの、1つ訊いてもいいですか?」
「なあに?」
「私、ノボリさんにそこまでされるいわれがないのですが…。私はいっかいの駅員で、お2人はサブウェイマスター。雲のうえの存在です」
「そんなの、決まってる! ノボリがきみのこと…むぐっ!」

 口と鼻をふさがれたクダリさんが、苦しそうにもがく。

「そのようなこまかいことは、気にしないでくださいまし!」

 いや、こまかいことじゃないし。……というか、クダリさん死んじゃいます……。





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