N log
長期間ログインされておりません
[PR] 広告主様募集


Wat's your name?

【早く僕をみつけて】

「え、えーと…これをこうして、こうか! …あれ、ちがう…」

 瞬間移動の魔法を練習していたトウコだが、なかなか成功しない。朝から何度も失敗をくりかえしては、よくわからないものを招喚していた。バケツとか、長靴とか。

「んもう、なんで成功しないのっ!」

 なさなくて、くやしくて。だがそんな自分に、負けたくもない。

「これでどうだっ!」

 強い光とともに、真っ黒の服をきた、銀髪に赤目の男があらわれた。

「え、え、あれ? あなた、どなた?」
「…それは、こちらのセリフでございます。あなたさまこそ、どなたです」
「あ、あたしは…トウコです。一応、魔女…です。落ちこぼれですけど…」
「…魔女? …そうでしたか。わたくしは、魔女は大嫌いでございますゆえ、失礼します」
「え、あ、はあ…?」

 よくわからないが、男はトウコの部屋をでて行く。が、すぐにもどってくる。

「ここは、人間界でございますか?」
「あ、はい。そうです」

 こまったな、などとつぶやく男性に、

「行くところ…ないんですか?」

 と訊く。

「…ええ。ですが、あなたには関係のないお話にございますよ」
「でも、でもっ! あなたをここに転送してしまったのはあたしですから、最後まで責任持ちます!」
「…はい? …では訊きますが、あなたさまは、わたくしと契約してくださるのですか?」
「え、契約???」
「見てわかりませんか? わたくしは、悪魔ですよ」

 羽をひろげて見せる。

「わたくしと契約をかわすのであれば、1つだけ、あなたさまのねがいをかなえましょう」
「落ちこぼれから、卒業もできます?」
「…ご自分で努力なさればかなう願いごとは、脚下にございますよ」
「うーん…じゃあ、いいです。今は特に、かなえたい夢もないし」

 悪魔と名乗った青年は、「ほう」とだけもらす。

「人間は欲深い生き物だと思っていましたが…あなたさまは、少々異質なようですね」
「そうなんですか? …ところで、名前…訊いてもいいですか?」
「…ノボリ」
「ノボリ、さん…。行くところがないなら、ここにいればいいですよ。どうせ、あたし1人身だし」
「…残念ながら、魔女の世話になるつもりは、毛頭ありませんので。」

 しゅん、としてしまうトウコ。

「そう、ですか…」

 なんだかその様子がいじらしくて、それ以上、強く言えなくなってしまった。

「…わかりました。ですが、身の回りのことは自分でしますので、よけいな手出しはしないでくださいましね?」
「はい!」





- XRIE -