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Wat's your name?

【あてもなく逃げるように】

「また迷った…」

 もはや特技と化した私のこの迷子体質。本当に、なんとかならないものだろうか……。

「あの、東京行きはどの路線でしょうか?」

 まず目についたのは、緑の制帽に、緑の制服の駅員さんだった。とりあえず悩んでいてもらちがあかないので、声をかけてみたわけだけど……。

「トーキョー、でございますか? はて、そのような地名は聞いたこともなく…」
「…は?」

 ちょっと、ナニソレ。どういう意味。

「しょうしょうお待ちください」

 ちょうど入ってきた列車からおりてきた2人には、ものすごく見おぼえがある。
 片方は白い制服に白い制帽。もう片方は黒い制服をまとい、顔は、2人ともまったく同じ。ちょっと、ねえ、冗談はやめてよ……。

「お客さま、こちらがギアステーションのボスでサブウェイマスターの…」
「知ってます。…ってことは、ここはポケモンがいる世界なんですね?」
「はい、そうですが…?」

 駅員さんが、頭のうえに"?"をうかべているのがわかる。でもそれどころじゃないのよ、こっちは……。

「なにかおこまりのようですが、わたくしたちでお力になれることはありますか?」
「…いえ、だいじょうぶです。おさわがせしました!」

 いきおいよく頭をさげると、逃げるように出口を目ざした。でも、出口さえもわからず、とほうにくれる。

「あー! いた!」

 ……よ、よりによって白いほうに見つかった、だと……? ……最悪だ……。
 サブマスの待機室だという場所に案内され、コーヒーをだされた。

「トーキョーって、どこ?」

 キラキラした瞳で訊かれ、逃げられないとさとる。

「関東の、中心都市です。…でもこっちの世界のカントーではなくて、ですね…」
「コッチの世界?」
「それは…どういう意味なのですか?」

 ちいさくため息ついてから、話す。私の世界では、ポケモンは架空の世界であり、ゲームのなかなのだ……と。

「信じる信じないは…おまかせしますけど…」
「じゃあ、きみの世界にはポケモンはいないの?」
「いません」
「それでは、このライモンをおでになるのも危険でございます」

 わかってるけど、そんなの、自分ではどうにもならないし……。

「少し、待っていてくださいまし」

 と、ノボリさんはライブキャスターをとりだして、どこかに電話をかけた。

「ねえ、きみの名前は?」
「…え?」
「名前! ないとなんて呼んでいいのかわからない!」
「あ、名前…です」
名前! かわいい名前だね!」
「あ、りがとう…ございます」

 そんな会話をしているうちに、ノボリさんが電話を切った音がした。

「クダリ、あなた今呼びだしがかかったでしょう? はやく行きなさい。あとは、わたくしがなんとかします」
「…ぶー」

 ブーイングしながらも、クダリさんは行ってしまう。





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