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Wat's your name?

【空に溶かしてくれるなら】

 目がさめたら、すべてがもとにもどっていたらいいのに。とは思ったけれど、それはなかったようだ。

「おっはよー!」
「…クダリさん」
「今日はノボリ仕事だから、ぼくとおでかけ! ね!」

 ……朝からこのテンションには、ちょっとついて行けそうにないな……。

「どこへ…?」
「トレーナーカードもらったら、買いもの! こっちの世界で必要なもの、きみ、なにも持ってないデショ? ちなみに、お金は心配いらない! ぼくはらう!」
「…はあ」

 クダリさんのペースにまきこまれつつ、必要なもの……生活必需品とか……をそろえた。

「あ、ねえ、名前ってノボリが好き?」
「…え?」
「だって、ノボリのこと、すっごい見てた」

 ……この人、変なとこするどいな……。

「はい…まあ…。まあ、いきなりふられちゃいましたけど」
「トウコ? …トウコぼくと付き合ってる。ノボリ、トウコのこと忘れたい」

 ……それは、そうでしょうね。なんて言えるわけもなく、苦笑いをかえすしかない。

「ノボリ押しに弱いから、きっとうまく行くよ!」
「…私は、負けるとわかっている勝負はしないんです。…私なんかじゃ、トウコちゃんのかわいさには、かなわないですし」
「そんなことないよ? きみかわいい! ぼくだって、トウコを好きなになってなかったら、たぶんほれてた」
「おせじはいいです。…でも、ありがとうございます。ですが私…ほんとにもうあきらめてますから…」

 そもそも、私とノボリさんは住む世界がちがうしね……。

「さ、もうこの話は終わりです! 帰りましょう!」
「…うん」



 名前は笑っていたけれど、心のなかでは泣いているなんて、バレバレだった。トウコのときもそうだったけど、どうしてみんながしあわせに……って、いつも実現しないのかな……。
 ぼくは今、トウコとしあわせだ。でも、それを見ているノボリはすっごいつらくて、そんなノボリを見ている名前だって、きっとつらい。だからってぼくが身をひけば解決するとかいう、そんな単純な問題でもなくって。

「おとなになるって、いろいろいやなことばっか。だからぼく、おとなになんて、なれなくてもいい」
「…クダリさん?」

 心配そうにのぞきこんできたトウコを、ぎゅっと抱きしめる。

「ノボリは、まだトウコが忘れらない。でも、ノボリに片想いしてる子がいる」
「それって、このあいだ言っていた人ですか?」
「うん、でもその子、あきらめちゃうんだって。ぼく、すっごいつらい」

 だって、あきらめちゃったら……なにもかもおしまいじゃない。

「クダリさん、女の子ってけっきょく、みんな弱いんだと思うんです。…ううん、人間はみんな弱い」
「…うん」
「だから、"つらい"って感じるんじゃないかな。そして、そこから逃げたくなる」
「…そうだね。ぼくもトウコに捨てられたら…きっとそうなる」

 でもやっぱり、人生って逃げるばかりじゃいられなくて、いつかは……戦わなくちゃいけないんだよね。





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