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Wat's your name?

【静かに心を紡ぐ】

「だって、あげぜん食わぬは男のはじ!」
「それを言うなら、すえぜんです。…名前さまはすえぜんでなければ、食べていいものでもありません」
「ノボリだって男の子! ぜったいぼくとおなじこと考えてる!」
「あなたのようなすけべと、おなじにしないでくださいまし…」

 深くため息をつくと、先ほどからよからぬことを考えている弟が、言う。

「ノボリ、むっつりすけべだもんね! ぼく知ってる!」
「…失礼な」
「だいじょうぶ! 2人がかりだもの、きっと行けるよ」
「…クダリ、冗談でも言っていいことと悪いことがありますよ?」
「…ぶー。わかったよー。おとなしくTVでも見るもーんだ」



 翌日。

「今日も休んでいいって言われたから、買い物行こうか!」
「なんで?」
「最近人間の姿でいる時間のほうが長くなってるでしょ? だから、生活必需品を買わないといけないじゃない?」
「ですが、お金は…?」
「1人暮らし長いから、貯金だけはあるの。だいじょうぶ!」

 それに、洋服だっていつまでもサブウェイマスターの制服じゃしょうがないしね。

「下着だって取り替えないとだし、あと、洋服。そのコートじゃめだちすぎて、外歩けないわ」
「ぼくたち有名人!」
「うん、まあ。ていうか、わかる人にはそのもみあげだけでばれるよ」

 ……しまった。それは考えてなかったわ。

「あ、ねえ、ヘアピンとかないの? 髪型変えたら、わかんないよ」
「…なるほど! やっぱクダリさんあったまいい!」

 ヘアピンをわたすと、2人してもみあげを耳のうしろでとめた。

「…ぷっ…」
「…笑わないでくださいまし…」
「…ごめんなさい」
「ぼく、ノボリの顔見てるだけでふきだしそう」
「…なに言ってるんですか、おなじ顔なくせして」

 そりゃそうだ。ていうか、私服じゃ正直……どっちがどっちか区別がつかないや。……って言ったらおこられるか傷つけるかしてしまいそうだから、言わないでおこうかな。

「ていうか、誰だかわからないです」
「え、そのほうがいいんでしょ?」
「ええ、まあ…そうなんですけど。特徴が死んでしまうことがこんなにつらいことだなんて…」
「特徴?」
「もみあげと帽子」
「ひどい! 名前は、ぼくらをもみあげと帽子だけの人間だと思ってるんだ!」

 ……うん、まあだいたいあってる。

「もみあげと帽子だけで判断していると言っても、過言ではないですね。あ、あと一応コート?」
「ひどい! ぼく泣いちゃう!」
「ひどいです…」
「ノボリさんまで…」

 どこまで冗談なのかはわからないが、少なくとも、私はうそは言ってないぞ。

「とにかく、ほら、もうでかけますよ」
「はーい」
「あ、待ってくださいまし…!」

 あわてておいかけてくる2人を、ほほえましく見ている自分がいて、ちょっとおどろいた。





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