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Wat's your name?

【鏡の世界と無限の迷路】

 ──泣きごえが、聞こえる。小さな子供の、小さな泣きごえ。
 だがしかし、どこから聞こえてくるのか耳をすますと、ふいにかき消えてしまう。
 あれは、誰の声? どこから聞こえてくるの? あっちかな? それとも、はるかな未来からの声なのかな。
 誰か、教えてくれないか。ボクは今、どこにいるの。ボクはなぜ、ここにいるの。ボクは、誰なの──。



「やめたげてよおおおおおお!!!!」
「やめろよ!!」
「やめないと、ジュンサーさんに言いつけるんだからね!!」

 3人の子供が、5人ものおとなと対峙している。1人は目にいっぱいの涙をうかべた、金髪の女の子。もう1人は、女の子たちをかばうように立っている男の子。そして、茶色の髪をポニーテールにしているもう1人の女の子。おそらく、3人ともおないどしくらいだろう。

「ポケモンをいじめるなんて、やっちゃいけないんだからね!」
「そうだ! それでも、大人なのか!?」
「あのね、ボクたち、オニーサンたちは強いトレーナーなんだよ。修行のために、そこの野生ポケモンちゃんが、俺たちに付き合ってくれてるだけ。わかる?」
「うそだ! この子、こんなに傷ついて、おびえてるもの!!!!」

 ポニーテールの子が、うしろにかばっているポケモン。……ああ、タブンネだ。あの子は経験値が高くて優しいポケモンだから、よくトレーナーのえじきにされるんだ……。

「いいからどきな! ここは、ガキの遊び場じゃねーんだよ!!」
「嫌だったら嫌!!!!」
「そうだ! 僕たちは、ぜったいにどかないんだからな!!」
「こんの、クソガキ…! 人がしたでにでてりゃ、いい気になりやがって…!」

 なぐられる。そう思った瞬間、タブンネが子供たちをかばう。

「こいつ…!」
「タブンネ、おうふくビンタ」

 たすけるつもりなんて、なかったんだ。でも、あの子たちが必死に守るタブンネを、たすけてあげたかった。本当に、それだけだったんだ……。

「お兄ちゃん、すごいね! 野生のポケモンに、言うこと聞かせちゃうなんて!」
「…うん、ボクは…ちょっと普通じゃないから…」
「でも、すごいです! それと、たすけてくれて…ありがとうございました」
「ね、ね、どうやってタブンネに言うこと聞かせたの!?」

 輝いた目で見あげてくる3人に、ため息をつく。

「誰にも言わないって、約束できるかい?」
「うん!」
「…ボクはね、ポケモンと話ができるんだ」
「じゃ、じゃあ、このタブンネの心の傷も…なおしてあげられる?」

 おどろく2人をよそに、ポニーテールの子だけが、おそるおそる聞いてきた。

「…どうかな。この子は…だいぶ人間に傷つけられて、傷がふかいみたいだから…」
「…そうだよね。人間だって、いじめられたら痛いものね…」

 女の子は、自分が痛い思いでもしたかのように、おそるおそるタブンネにふれる。

「大丈夫? 痛いとこない? こうしてたら、痛くない?」
「ターブンネ〜…」

 優しく背中をさする彼女に、タブンネが少しだけ、うれしそうだ。

(子供とはいえ…人間にも、こんな子がいるのか…)





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