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Wat's your name?

【只歌う様に】

「タブンネも、ありがとうね、助けてくれて」

 ポケモンは、純粋だ。だから、優しくしてくれる人には優しいし、そうじゃない人には近寄りもしない。だけど、タブンネは優しいポケモンだから、どんな人間でも平気で近づいて行く。でも人間のほうは、"タブンネ狩り"なんてことを、平気でやってのけるんだ。

「タブンネ、人間は君を道具くらいにしか思っていないんだ。もう、人間には近づかない方が…」
『おかしなことを言うのね。貴方も、人間じゃない』
「…だがボクは、人間が嫌いだ」
『…そう。でもね、人間にもいい人はたくさんいるのよ。…ほら、この子たちのように』

 と、タブンネは子供たちに慈愛の笑みを向ける。

「でも、今日のやつらみたいなのは、他にもたくさん遭ってきたんじゃないのかい?」
『…ええ、ああいう人間もたくさん見てきたわ。でも…この子たちのように優しい人間もいるから…人間を嫌いになんて、なれないわ。…それに…』
「それに?」
『トレーナーに捕まって、力を引きだしてもらったり、幸せに暮らしている仲間もたくさん見てきたの。私はたまたま運がなくて、そういうトレーナーに逢えないでいるだけ』

 時にはこわい人間もいるけれど、それでも人間が嫌いにはならない、というタブンネに。

「君は、優しい子だね」
『貴方も』
「ボクが、優しい?」
『ええ。この子たちを助けてくれたこと、私からもお礼を言うわ』
「…そう…」

 ボクにはとうてい、このタブンネの気持ちは理解できそうになかった。だって、こんなにもボロボロにされて、それでも人間が嫌いじゃないなんて……。

「ねえねえ、タブンネは、なんて言ってるの!?」
「…君たちに、ありがとうって」
「あたし、大きくなったらポケモントレーナーになるの! そしたら、貴方をゲットして、2度と苛められないように…助けてあげるからね!」

 笑顔で言う女の子に、タブンネも笑いかける。

「ポケモンは、こうして自由なのが1番幸せかもしれない。…それでも君は、このタブンネを捕まえるのかい?」
「でも、いじめられることはなくなるわ。…それに、捕まえてほしいと思ってるポケモンがいないなんて、決まってないでしょ?」
『貴方の負けよ。…この子、きっといいトレーナーになるわ』
「…そうか…。だと、いいけど…」



 ──はっとして、目が覚める。……ああ、なんだ、夢か……。

『大丈夫か?』
「…ゾロア。お早う」
『ずいぶんと、うなされてたぞ?』
「…大丈夫だよ。ちょっと、嫌な夢を見たんだ。…といっても、内容は覚えてないけどね」
『そうなのか? 人間っていうのは、面倒な生き物だな』

 そうだね、とゾロアの頭をなでてやると、ゆっくりベッドから降りる。

『おい、N』
「なんだい?」
『お前は、お前の思う道を行けばいいと、オイラは思うぞ。なんでもかんでもゲーチスの言いなりになる必要は、ないんだぞ』
「…ありがとう。でもボクは…ボクには、この道しかないから」

 ボクとトモダチの旅が、とうとう始まった──。





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